アドリブに挑戦する方へ
初めまして。KKG音楽スクール代表講師の黒田 康太です。
私が初めてアドリブ、即興音楽に出会ったのは19歳の秋でした。音楽学校に入学し、1曲目に先生から出された課題曲がボサノバのスタンダード曲「Blue Bossa」でした。セッションが始まると周りの皆が簡単にアドリブをこなす環境に頭がクラクラしてきます。
当時、私はアドリブで演奏しているアーティストはエリッククラプトンしか知らず、理論も知らない自分にとってはハードルが高すぎて、入学するまでは挑戦しようとも思いませんでした。
“セーハコードは弾けるけど短音弾きは出来ません“なレベルの私でしたが、先生の適切な指導と練習方法、そして音楽理論の学習で自由なアドリブを少しずつ習得していきました。
その達成感と音楽への執着、楽しむ心は今も私の原動力になっております。
これからアドリブに挑戦される皆さんにも音楽への新しい楽しみ方を見つけていただくことが出来たら幸せです。
アドリブを練習する上で大切なことは
1. 音楽理論を習得する
2. スケール、コードトーンなどを弾く基礎練習。それらを覚える練習
3. 好きなフレーズのコピー、使われている音の分析
4. 耳を鍛える
アドリブの習得には曲を丸コピーするよりも、はるかに長い時間がかかります。私の場合は音楽理論を好きになってしまうことで早く習得できました。
アドリブを使う音楽ジャンルたち
アドリブを使う音楽を少しだけ紹介します。
1. ポップス、ロック
ポップスやロックの定義はかなり広く、一概には説明できませんが、ポップスや歌謡曲の間奏部分などに使われているギターソロはギタリストの即興音楽であったり、即興でなくても同じ知識を使って聞きやすいように作りこまれています。にそれは俗に“キメソロ”と呼ばれたりします。ポップスセッションなどで即興アドリブで間奏を綺麗に弾きこなすことは実はかなり難易度が高いです。
曲の雰囲気によりますが、ペンタトニックスケール、メジャースケール、マイナースケール、ハーモニックマイナースケール、リディアン♭7thスケールなど様々なスケール知識が必要です。
2.ブルース
即興で成り立つ音楽ジャンルです。奴隷として蔑まれた黒人たちが自分たちの持つ伝統的なリズム感と西洋の楽器、音階を組み合わせて生み出しました。三連符で作られた独特のリズム感、シャッフルや俗に“ハネる”と呼ばれるリズムです。コード進行が単純でこと3つのコードを覚えるだけで演奏できてしま
います。アドリブの入門に適したジャンルです。
主にメジャーペンタトニック、マイナーペンタトニックスケールを使いソロをします。
3. ジャズ
ブルースからさらに発展して生まれた音楽です。複雑なコード進行での即興演奏と“スウィング”と呼ばれる独特のリズムが特徴です。9thコードなどのテンションコード、代理コードや転調など複雑なコードへの理解とフレーズの練習、スウィングのリズムになれる、さらに多くのスケールを練習する必要があります。
主に、ペンタトニック、アヴェイラヴルノートスケール、ハーモニックマイナースケール。難易度の高いものだとリディアン♭7thスケール、メロディックマイナー、オルタードスケール、ディミニッシュスケール、コンビネーションディミニッシュスケールなどを使います。
4. ボサノバ、ラテン音楽
中南米発祥の音楽で“サンバ”を思い描いていただけるとイメージしやすいと思います。いろいろなリズムパターンがありますが、特にアドリブで演奏しやすい“ボサノバ”、“サンバ”を取り上げています。Ⅱ-Ⅴ進行のコードが多くアドリブもリックなどが使いやすいです。使うスケールによってジャズっぽい演奏に変化します。
ジャズ同様にペンタトニック、アヴェイラヴルノートスケール、ハーモニックマイナースケールなどを使用します。ジャズに比べるとペンタトニックスケールが使いやすい傾向にあります。
5. ファンク
ジャズとは違い16ビートを基準に作られたノリの良い音楽ジャンルです。“ハネる“演奏が多くその場合ハーフタイムシャッフルと呼ばれます。エレキギターのカッティングが必要な音楽です。ジャズでもいえることですがバッキングもアドリブになってきます。アドリブソロとしては16分音符が増えるのでフィジカル的に難しい音楽になってきます。
ペンタトニック、アヴェイラヴルノートスケール、ハーモニックマイナースケールを使います。ペンタトニックスケールだけでも良い演奏になります。
6. フュージョン
ロックとジャズの融合音楽です。激しいバンドサウンドと歪ませたギターサウンドが特徴的です。16分音符が多く、テンポも速いものだとBPM150の非常にテクニカルな演奏技術を要します。難易度が高く曲によって様々なスケールを使用します。プレイヤーの力量次第といえます。
7. プログレ
プログレッシブロックと呼ばれるジャンルでスケール名が付けることのできないような音階、5拍子、7拍子、11拍子といった耳なじみのないリズムで作られたりします。この域まで来るとまとめてお話しすることが困難になってきます。難易度は最も難しいと私は思います。
アドリブソロのスケールは曲によって様々です。難しい拍子の上で演奏することが多いため本当に大変です。バンドの力量が高くないと実現できないセッションでしょう。