探し出せ!クリシェじゃないmM7
探し出せ!クリシェじゃないmM7
こんにちは!講師の黒田です!
今日は楽曲になかなか出てくる事の少ないmM7(マイナーメジャーセブンス)コードについて
そして更に「クリシェ」として出てこない場合を紹介します!
(今回は少し難しいです。例の曲からなんとなく雰囲気を捉えてもらえたら嬉しいです。)
このコード、名前だけでは暗いのか、明るいのかはっきりとしない書き方です。
実際に鳴らしてみると暗い?が正解です。暗いというより「キツイ」響きです。
このコードの元になっているメロディックマイナースケールは独特の雰囲気です。
(C D E♭ F G A Bぜひ順番に弾いてみて下さい)
この癖の強さから前後のコードを工夫しないと使われません。
よく使われる方法としては
「ラインクリシェ」
と呼ばれる方法
○mのコードが2小節ほど続く場面でもっと「アツい」アレンジにしたい時に使われます。
Am→AmM7→Am7→Am6
こんな感じですね。最後のAm6は次につながるドミナント7thコードに置き換わる事も多いです。
この使われ方はそこそこ見つけることができます。
糸、未来予想図2、歌うたいのバラッド、最近だと115万キロのフィルムとか。
大体はバラード。
ロックの有名なフレーズだとレッドツェッペリン「天国への階段」の最初のリフ。
歌詞的にもアツい場面で使われることが多いので、気にしてみるとちょっと面白いかもです。
さて、クリシェで使われるmM7は沢山見つかるのですが、このコードが単体で使われている珍しいパターンを紹介します。
なかなか見つからないので例は2つだけ…
秦基博さんの「アイ」
菅野よう子さん作曲の「創世のアクエリオン」
「アイ」ではサビの「魔法みたい」のところ1:29〜
ここでmM7が単体で出てきます。
前後関係からしてもクリシェになっていない場面です。
このmM7コード、サブドミナントマイナーというテクニックがさらに変化したものです。
★サブドミナントマイナーコードとは
Key=Cで
F → Fm7 → C
このようなコード進行があった時の「Fm」の部分を指します。
この瞬間だけ Key=Cmのダイアトニックコードから暗いコードを借りてきています。
このテクニックを使う事で、コード進行に強力なアクセントや印象を持たせることが可能です。
コブクロの「桜」のサビなど、このテクニック自体は割とよく使用されています。
しかし、このFm7。もともとのKeyで使えていたはずのM7th“(E)の音が使う事ができなくなってしまいます。
というのも
・コードの構成音にE♭、F
・メロディはEの音
という連続して3つも半音で音がぶつかってしまい、サウンド的にとても濁ってしまう状況が作り上げられます。
そんな理由でM7thのEの音は“避けられる”わけですが…
・メロディにM7thの音を絶対に入れたい。
・わざと使う事により、このコードとメロディをひきたたせる。
そう言った目的により、あえてこのキツいコードを入れている場合が上の2曲です。
無理やり使うためにコードを変化させます。
Fm7 → FmM7
m7thの音を”無くして”M7thに変えることにより、メロディとぶつかる音を減らしています。
(何となく雰囲気で使っているパターンもあるが、この2曲は考えて使っている…はず)
サウンド的に無理をしないといけないため、メロディラインとコードボイシングをかなり工夫しなければ実現できないと思います。
良いバランスを見つけなければ、あぁ失敗…な感じのサウンドが出来上がる事に。
ギターではM7thの音がトップノートに持ってくるようなボイシングをぜひ試してください。
「アイ」のmM7コードの部分は良い感じにハマってます。
メロディを引き立たせてくれています。
そして、1万年と2千年前からでおなじみ「創聖のアクエリオン」も「僕の地獄に音楽は絶えない」のところで出てきます。
「ぼ“く“の」(1:24)の部分でM7thの音が使われています。
楽器がmM7を鳴らしてくれないと歌う事はかなり難しいですね。
コードに惑わされずに狙った音程を出せる、上手な人なら問題なしですが…。
菅野よう子さんが作り出すコード進行は本当に凄いです。
ホントに魔法みたいです。
いつかこんな曲を書き上げてみせる。と、のんびり気長に勉強してます。
クリシェじゃないmM7。
なかなか珍しい存在だと思うので発見したら僕に教えてください。